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2018.04.19
ブログ

心に残る表現(後篇/ビジュアル編)

前回の「心に残る表現・言葉編」に続き、あおさPRポスターをサンプルに「心に残るビジュアル」について述べていきます。

まずは、「あおさ、 どこさ? 三重さ。」ポスターの実際のラフ案の一部をご覧ください。

デザインを行う際は、最初にサムネイルと呼ばれる手書きのデザインを複数作成し、それを上記画像のような簡易デザインラフにおこして検討をします。

これらの中から、A案を採用したわけですが、第一の理由は、「あおさ」と「三重」を結び付けて印象付けることを目的としているので、文字のインパクトを重要視したこと。(ここで、A案とB案に絞られました。)

第二の理由は、親近感とギャップです。
下の表は、「親近感(知っている・知っていない)」「ギャップ(想定内・想定外)」をマトリックス表にして、それぞれのインパクト度合いをみたものです。

①「知っているもの」で「想定内」 → インパクト・小
「いつものあれ」なのでインパクトはほぼない。

②「知らないもの」 → インパクト・中
知らないものに対してはそもそも「想定」がないのでギャップはないが、「初めて」ということでそこそこのインパクト。(知らないのでスルーされる可能性も。この場合はインパクト・小。)

③「知っているもの」で「想定外」 → インパクト・大
「知っているもの」なのに「いつもと違う」ことが大きなインパクトを与える。

ここで、A案とB案をこのマトリックスにあてはめてみると、
A案は③「知っているもの」で「想定外」→インパクト・大
B案は②「知らないもの」→インパクト・中

A案の「知っているもの」はお味噌汁、「想定外」は大きさ(自然にイメージする「味噌汁」の大きさと「ポスターで表現されている大きさ」のギャップ)です。
例えば、象の写真がポスターにおさまっているのと、蟻の写真がポスターいっぱいに拡大されているのでは、後者のほうがインパクトがありますよね。

というわけで、選ばれたのはA案。

デザインを構成する「言葉」も「ビジュアル」も対象物の目的や用途によって異なりますが、前回と今回で、事例をもとに、どのような思考でデザインを行っているのかをまとめました。
感覚的なことを言葉にするのは難しいですが、うまく伝わっていると嬉しいです(^^)。

そして、ここからはおまけ。

デザイン案決定後、案をもとに撮影を行い、細かいディティールにもこだわってデザインを仕上げていきますが、完成までには、写真・文字の大きさ・文字の色・文字のふちの有無・全体のバランスなどを変えた複数案を作成し、見比べ、最終決定をします。

画像は途中の検討会の様子です。ぱっと見、一緒と思われるかもしれませんが全部違います。4つの違い、わかりますかね(^^)

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